古くより人は岩や木、滝や火山など自然物から気を感じるとしてを神またはその依代として畏れ敬い、御神体のある場所を"神奈備"神の聖域として祀って来ました。
本作品はその神奈備に鎮座する自然物の御神体のオーラを表現した作品で神社の御神体である鏡の存在を作品コンセプトの拠り所としています。神社の鏡は依代であり光を受けることで神が顕現する装置であるとされています。神とされる存在がいるのかは私にはわかりませんが、これら御神体をサーモカメラで撮影した熱画像をそのオーラに見立て特殊環境下において発色する再帰性反射材と蓄光顔料により表出させた像は我々に何かを訴えかけて来るようです。
作品に描かれたドットの集積はサーモグラフィーカメラで撮影した御神体の像で、大小のドットは温度表しています。温度が高い箇所を大きな径、温度が低い箇所を小さな径とし、発光してない状態でも視覚的にも温度分布が視認できるように表現しました。完成した作品は一見すると何も描かれていないように見えるが鑑賞者がリングライトから覗くことで再帰性反射材が発色し像が浮かび上がったり、暗闇で見ることで光を蓄えた蓄光顔料が発光し、図像が浮かび上がり、御神体のオーラを垣間見たような状態になります。